とにかく褒めれば良いですか?
「すごい!」「えらい!」「じょうずじょうず~!」などなど。
子育てをしていて、褒める場面ってどのくらいあるでしょうか?
昨日の投稿でも、褒めて褒めてという話をしましたが、
「とにかく褒めた方が良いんですよね?」
とお母さまがたからカウンセリングで聞かれると、ちょっと待ったをかけたくなったりもします。
「褒めて伸ばしましょう」というのは、確かにあちこちで聞かれますが、
もしかすると、コーチングや教育の理論が少し歪曲して伝わっているのかもしれません。
すこし理論に戻って考えた方が良さそうな気がしています。
挨拶できる子になってほしい
それぞれ価値観は違えど、挨拶できる子になってほしい!
と思っているご家庭は多いのではないでしょうか?
「ごあいさつは?」「こんにちはでしょ?」
公園や街中でもこんな声かけが良く聞かれます。
これまでの話で言うと、
「ごあいさつは?」という大人の声かけ(刺激)→子どもの挨拶(反応・行動)
というメカニズムで挨拶行動が生起しているようです。
ただ本当にこんなシンプルなの?という疑問も当然湧いてきます。
こうした行動主義の考え方をもう少し前進させた理論に、新行動主義があります。
新行動主義の説明からしますと
簡単に言えば、新行動主義は、そこに生じる個人差に着目します。
つまり同じ声かけをしても、行動を起こす子と起こさない子がいるよね?ということです。
個人差については、いろいろな理論がありますが、
「刺激→反応」のあとに生じる「結果」に着目したオペラント条件付けの考え方を少し紹介します。
オペラント条件付けはもともと、ネズミの実験にもとづいた理論です。
ネズミが実験箱の中をうろうろしているうちに、
たまたま目の前のレバーを押して、餌が出てきます。
するとネズミは次第に餌が出てくる仕組みを学習し、レバー押し行動を獲得することになります。
どういうことかというと、「レバー押し行動」の後に、「餌」というメリットがあるから、
「レバー押し行動」が繰り返されるという理論です。
先ほどの「挨拶行動」の例で、図のように考えてみましょう。
もちろん初めは「ごあいさつは?」という声かけが刺激になって挨拶をするわけですが、
そのあとで、「えらいね」「すごいね」「上手にできたね」と大人から褒められるからこそ、
「挨拶行動」が繰り返される、という仕組みですね。

いかがでしょうか?ちょっと理論的なところも伝わりましたでしょうか?
「褒められる」ことが、子どもにとってメリットだからこそ、
この仕組みが成り立つという、これまた当然のように思えるシンプルな仕組みですね。
やっぱり褒めれば良いですね?
ここまでお話しすると、「じゃあ、やっぱり褒めれば良いのですよね?」
という私への反論も出てきます。
しかしどうでしょう?子どもって褒められるのだけが好きなのでしょうか??
わたし実はとても照れ屋なので、子どもを素直に褒めるのって苦手なのですが、
たとえば「やったー!!」とハイタッチしたり、「おぉ!!」と驚いたりする。
これは結構できたりします。
これも子どもが喜ぶ反応であれば、褒めているのと同じことになります。
ご家庭によっては、「だいすき~!」や「ギュッとハグ」だったりするかもしれません。
愛情表現やスキンシップも、子どもにとってもちろん嬉しくて大切な反応です。
つまり褒めるというのは言葉で褒めることだけではなくて、
子どもが喜ぶ反応であれば、言葉以外にもいろいろな表現ができそうです。
とはいえ、言葉で褒めるのが大事なのは確かにそうで、
それは大人も子どもも、なんだかんだで褒められたいから!!
「言葉を使った褒め」についても、もう少し追及していきたいですね。
さて次回は年明けになるかもしれません。年末年始はちょっとランダム配信です。
ではでは、皆さまどうぞ良いお年をお迎えくださいませ。
>>過去の投稿も、ぜひご覧になってください。
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