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KokoTeraブログ

公認心理師・臨床心理士/博士(医学)
医療現場でカウンセリング歴15年以上。小学生2児の母。
仕事や育児、病気との向き合い方など、様々なご相談に乗ってきました。
このブログでは、心理士として、大学教員として、母として。
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気分転換も多様性時代?~ストレスのおはなし3~

仕事

気分転換、いくつ持っていますか?

気分転換は、コーピング(ストレス対処)の1つです。と、これまでもお話してきましたが、
皆さまは、どれくらいコーピングのレパートリーをお持ちでしょうか?

ある心理学の専門家は、コーピングを100個以上もちましょう。と話されています。

「え?100ですか!?」
目をまるくしたその表情をみるたびに、ちょっとうれしくなるものです。

カウンセリングでは、戸惑い気味の相談者さん相手に、
いちど100個のコーピングを書き出してみてもらっています。
皆さまも、もし可能であれば、ちょっと書き出してみてください。

さて、どうでしょうか・・・?
この場合、何か特定のストレスや問題に対するコーピングを指しているわけではないので、
おそらく、問題解決のための具体策よりも、
気分転換やストレス発散法から、リストアップする方が多い気がします。

しかし、大半の方がリストアップをはじめて10~20個くらいの段階で、
「もう見つかりません!!」という状態になります。
新しい気分転換を80個も作らなきゃいけないの?!つい嘆いてしまいますよね。

お酒が気分転換です

ところで、わたしはお酒が好きです。
つまり、「お酒を飲む」はコーピングの1つです。

さてここで、このまま次のコーピングを考えたくなるのをこらえ、
少し立ち止まって考えてみたいと思います。なぜ私はお酒が好きなのか?

まず、そもそもお酒を美味しいと感じています。
若いころはビールは苦いと思っていたはずなのに、気づけばその苦みさえも好きです。

それから、お酒を飲む場も好きです。
いままで緊張してあまり話せなかった方々と打ち解けたり、
恥ずかしくて言えない本音が言い合えたりすることもあります。

あとは、お酒が好きな方たちと話をするのが好きです。
お酒が好きな方は、たいがい失敗談をお持ちで、それを武勇伝のように語ったり、
おもしろおかしくエピソードトークをしてくださったりするので、
話を聴いたり、自分の話をしたり。過去を振り返って大笑いできる時間です。

こうやって考えてみると、「お酒を飲む」というコーピングは、
「お酒を飲む」「飲み会の場に行く」「お酒好きな人と話す」に分解することができて、
これだけでも、コーピングが3倍になりました

もっといえば、「お酒を飲む」の中にも、
「1日の終わりに晩酌をする」「新幹線でビールを飲む」「お祝いにシャンパンを飲む」などなど、
そのレパートリーは多様すぎるほど、多様です。

このように自分が1つのコーピングだと思っていたものでも
いろいろな機能(効果)があり、その多様性を意識して紐解いていく
と、
ネズミ算式に、コーピングはあっという間に100個以上まで広がります。

つまり、コーピングは新たに作るのではなく、実はそばにある
自分でそれに気づくかどうか。それだけなのです。

多様であることは柔軟であること?

コーピングが100個以上あると、どんな良いことがあるのか?
これがおそらく疑問ですよね。

たとえば前回のブログでは、私は宝塚歌劇が好きだという話をしましたが、
これがもし、気分転換が宝塚しかないとするとどうでしょうか。
なかなか観劇できない日が続いただけで、ストレスに対処することができず、
こころを壊してしまうということになるかもしれません。

実際にコロナ禍ではこのようなことが起きました。
周囲にも趣味が続けられなくなって、気持ちが滅入ってしまう人がいましたし、
我々が行ったウェブ調査研究でも、気分転換ができないつらさを多くの方が挙げていました。

こんなとき、役に立つのがコーピング100個以上のワークです。
よく使っているコーピングがうまく機能しない時こそ、このストックが役に立ちます。
「太陽の光を浴びる」「食後にコーヒーを飲む」「youtubeみる」
ストックから選んで何かやってみる。一から考えるより、ストックがあると楽です。

これがダメなら、あれで行こう!そう考えられたら、いろんな場面に柔軟に対応できますよね。
最近はやりの言葉で言うと、レジリエンスです。
コーピングが多様であることって、レジリエンスが高いことなのかもしれません

ちなみにコロナ禍で私が見つけたコーピングは・・・「とりあえずトイレに入る」でした笑。
急なリモートワークへの転換で仕事が倍増している中、休園中の怪獣たちが走り回っている自宅。
一瞬ひとりになりたい。トイレ行こう。これも大事なコーピングです。

当たり前なことでも、「これが私のコーピング!」と思ってやってみると効果は100倍です
皆さま、ぜひぜひお試しあれ。

次回はもうちょっと専門っぽい話に入ってみます??
ということで、ストレスの話、まだまだ続けていきます。

>>コーピング(ストレス対処)について詳しく知りたい方は、過去の投稿をご参照ください。
関連記事:
向き合い方って人それぞれ~ストレスのおはなし1~
趣味って必要ですか?~ストレスのおはなし2~

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