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公認心理師・臨床心理士/博士(医学)
医療現場でカウンセリング歴15年以上。小学生2児の母。
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日々の生活に役立つ心理学のエッセンスをお伝えしていきます。

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スルーのスキル~技あり学習心理学9~

心理学一般

大学の審査・評価・試験・入試・カリキュラム・・・というハードな季節です。
ブログを少々お休みしていました。すみません。
書きたいなぁという内容をあれこれ頭に蓄えながら、日々を過ごしておりました!

こどもたちの人間関係

思春期・反抗期がときどき顔を見せながら、
まだまだ親にもいろいろ話すお年頃。
長女の言動がときどき大人のようでビックリすることもあります。

お友達関係にあれこれと悩むこともしばしばのようですが、
つねづね「だれかの悪口を言うのは嫌い」と話している長女。

昨日は、ほかの子の陰口をたたいていた友達に対して、
「ふーん、って一言だけ答えて、さらっと流したんだ。」という話題。
「うんうん、そうだよねぇ!とか言っちゃうと、わかる?とか言われて話が続いちゃうんだよ。」と。
まぁそんなことまで考えているの?と、母ちょっとびっくりしてしまいました。

強化と消去

何度かお話している通り、オペラント学習において、
行動を起こした後にメリットがあることによって行動が持続することを、
「行動が強化される」と言います。

そして、
望ましい行動をとった後に、メリットを与えることで、意図的にその行動を増やそうとすることを、
「行動を強化する」と言います。

つまり、
ご挨拶をした後に、「上手ね」と褒めるのは、ご挨拶行動を強化していることになります

これと全く逆の考え方として、
望ましくない行動の後に、デメリットを与えることで、意図的にその行動を減らそうとすることを、
「行動を消去する」と言います。

おそらく皆さまに分かりやすい、消去の代表的な例は「叱る」です。
お友達をたたいた後に、「こら!だめでしょ!!」と叱るのは、
たたく行動を消去していることになります。

「叱る」以外の方法がある

きっと、これを読んで叱っても全然治らない時はどうすれば??と思われた方がいるはずです。

「叱る」が効果的なのは、叱られることが、その子にとってデメリット(嫌悪刺激)である場合です。

たとえば、ズボンをおろしたり、おしりを見せたりして、ふざける男児をよく見かけますが、
もしも、この子たちが叱られてもやめようとせずに、なおふざけているのであれば、
それは、「叱られる」ことでデメリットではないのです。
注目されたり、笑われることが、嬉しい。
むしろメリットになってしまっている、と考えると分かるのではないでしょうか。

このように「注目を集めたい」「見てほしい」「聴いてほしい」という場合、
ひとつの対応として、「注目しない」「反応しない」という方法があります
。いわゆるスルーです。

さきほどの長女の例で言えば、
お友達の「陰口行動」に対して、むやみに反応しない(=軽く流す)ことによって、
その行動を消去しようとした(=これ以上、陰口を続けないようにした)対応だったというわけです。

心理学者の母、「おぬしも、なかなかやるなぁ」と思ってしまったお風呂なのでした。

「叱る」も「スルー」も難しい

ただし、スルーというのは、叱る以上に相手や子どもを傷つけることがあります。
たとえ、問題となっている行動が減らせないとしても、
きちんと相手の発信をキャッチして、受け止めることが重要な場面もありますので、
人間関係って奥が深いですよね。

「叱る」ことの是非についても追々お話ししていきたいですね。

>>これまでの投稿もぜひご覧になってみてください。
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