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KokoTeraブログ

公認心理師・臨床心理士/博士(医学)
医療現場でカウンセリング歴15年以上。小学生2児の母。
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このブログでは、心理士として、大学教員として、母として。
ゆかいな日常生活をお届けしながら、
日々の生活に役立つ心理学のエッセンスをお伝えしていきます。

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運動はなぜ続かない?~技あり学習心理学6~

運動レッスンでのおはなし

先日わたしが携わっているNPO法人健康寺子屋で、
運動レッスン「らくらく体操教室」が開催されました。
西島先生と大塚先生の甘辛ミックスが絶妙な体操のお時間ですが、
コロナがあったので、開催は実に5年ぶり!!

「お久しぶりです!」「四谷三丁目、久々!」と、
ワクワクキラキラとした表情で集まっていらっしゃいました。

手と足のリズムを変えて、歩きながらパン!と拍手。
「あれー??」「できないー!」「つかれたー!」
と笑い声が聞こえてきます。まるで小学校の教室のようです。これぞ寺子屋!

先生方の「運動しにきてるんだよねー?」のお声かけに、アハハと笑いながらも、
青空のもと出かけること、みんなでおしゃべりすること、笑い合うこと、ランチすること。
そのすべてが楽しい!!といったご様子に見えました。

運動を続けることは難しい??

コロナ禍前、月何回も運動レッスンに通っていた皆さまですが、
健康寺子屋の先生方いはく、ほとんどの方は運動経験のない方だそう。

それでも、こうして運動を続けることができていたのは不思議です。

病院に勤めていたころ、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の方とお会いすることがありましたが、
「先生からも言われているし、運動した方が良いと分かってはいるけど、続けられない・・・
と悩みを打ち明けられることが良くありました。
自分はダメ人間なんだと悲観的に受け止めている方すらいらっしゃいました。

そのときに、よく話していたことでもありますが、運動は食事よりも継続が難しいと感じています。

本日は行動の後ろにだけ着目しますが、改めて学習心理学のお話をシンプルにお伝えすると、
「行動」の後にメリットがあると人はその行動を継続しやすくなります

生活習慣というのは、基本的にこのメカニズムで習慣化されているので、
続いているからには何らかの理由があるということになります。

運動をした後、「気持ちがいい」とか「すっきりした」と感じたことはありますか?
このような「爽快感」は、運動による良い効果(プラス)ですが、
一方で運動は「しんどい」「つかれる」といった負荷(マイナス)もかかります

それに対して食事はどうでしょうか?
食事は食べた後に「おいしい」「しあわせな気持ち」などの良い効果(プラス)がありますが、
食事をとったことによる負荷(マイナス)というのは、食べ過ぎない限り、
あまり感じないのではないかと思います

プラマイゼロという言葉がありますが、
せっかく「行動」によるプラスがあっても、マイナスが大きくなってしまうと、
その行動を継続するメリットがあまりなくなってしまうのだと思うのです。

つまり運動の場合、どうしたって負荷がかかってくる行動なので、
そのマイナスを上回るだけのプラスがない限り、なかなか行動が持続しづらいのです

さらに言えば、食生活は少し変えるだけで割とすぐに体重などの目に見える効果につながりますが、
運動を体重減少につなげようと思うと、なかなかの負荷と継続が求められるので、
即時的なメリット(即時強化)が得られにくいのです。

運動を続けるには

こうした負荷(マイナス)がある中で運動を続けるために・・・
重要なことは、プラスをいかに増やすかということに尽きます

最初の例で言うと、体操教室に参加することで「体を動かして気持ちいい!」
というメリットがある以外に、話す、笑う、食べるなど、さまざまな喜びが付加されています。

これは大変重要なことで、だからこそ運動を継続することができています。
動いた後に食べたら意味ないじゃん!とツッコミを入れたくなる方がいらっしゃるかもしれませんが、
食べて動かないよりよっぽどマシです!!まずは運動を続けるということに焦点を当てれば、
一石二鳥・一石三鳥のよい仕組みづくりではないでしょうか?

案外、小学生でもわかる簡単な足し算引き算ですね。
こんど小学生向けに生活習慣のお話をする機会があればなとふと思った本日でした。

>>これまでの投稿もぜひご覧になってみてください。
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