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KokoTeraブログ

公認心理師・臨床心理士/博士(医学)
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模倣のプロ~技あり学習心理学3~

もちろん長渕!!

先日聴いてた、NHKラジオ「小学生の基礎英語」のおはなし。
「無人島へ行くなら、何を持って行きますか?」に対して、
もちろん~~です!
“~~, of course!”
で答える、というのがテーマでした。

サンシャイン池崎さんは、「どんな音楽が好きですか?」に対して、
“Nagabuchi, of course!!!”
と、全力で長渕剛推しの回答。

子どもはポカンとしていましたが、
聴いている大人は思わず、ふふふと笑ってしまいました。

大人が楽しいって大事

ラジオでのサンシャイン池崎さんのコメントは毎度わりとシュールで、
子どもには伝わらないようなネタが散りばめられています。

これがわざとなのか、キャラクターなのか、そのあたりは不明ですが、
大人が思わず反応してしまう。これは子どもにはとても刺激的です。

たとえば「大人が読書をする家庭は、子どもも読書をする」と言われますが、
子どもって大人が楽しんでいる様子をよく見ている生き物だなと思います。

以前のブログでちらりとお話しした通り、私は実に4代目の宝塚ファンですが、
母が楽しそうに宝塚を見ている様子を見て育ち、
いつのまにか自分も宝塚を楽しんでいて、
いまや子どもたちが私以上に宝塚を楽しんでいます。

こんな風に子供たちは大人の反応を吸収し、楽しいと感じるものさえ変えていきます。

つまり大人が楽しく聴けるラジオ英会話は、自然と子どもも楽しく聴けるようになるのです
これを意図して作っているとしたら、作り手さんすごいです。

模倣学習

心理学には、社会的学習理論と呼ばれるものがあります。

学習理論(学習心理学)のメカニズムは、以前のブログでもお話しした通りで、
ある特定の行動をした後で、何かしらのメリットが得られると、
人はその行動をくり返してしまいます

子どもが、「こんにちは」と挨拶をしたら、「えらいね」と褒められる。
褒められるから嬉しくなって、また挨拶をする。
そうこうしているうちに挨拶行動が定着する。というシンプルな理論でした。

これに対して、社会的学習理論は、模倣学習とも言われ、
自分が直接的にメリットを得られなくても、メリットを得ている誰かを見ることで、
間接的にメリットが得られることを学習して、その行動を獲得する
というメカニズムです。

つまり、挨拶をして「えらいね」と言われていた友達やきょうだいを見て、
自分もやってみようと挨拶をして褒められるというメリットがあるから、挨拶行動が定着するという。
これまた大変理解しやすいメカニズムになっているようです。

さらに、これを先ほどのラジオの例で考えてみると、
「ラジオを聴くと楽しいから聴く」というもっとシンプルなメリットに対し、
これを見ていた子どもも「楽しいようだ」と学習して、
「ラジオを聴く」行動が定着する、という道筋になっているのです

このように、子どもは大人の行動を見て育ちます。
まさに模倣のプロと言えます。

自分たちの行動が、子どもたちのすべての行動につながる。
嘘のような本当にこわい話。

>>これまでの投稿もぜひご覧になってみてください。
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