怒る母たち
先日のママ友ランチタイムでのおはなし。
「自分がこんなに怒れる人だと思わなかった!」とある方がおっしゃり、
「わかる!わかる!」と大盛り上がりしました。
なかには人に怒る姿なんて想像できないような方もいて、
「え、意外!」とお互いに笑い合いながら、かなりの意気投合でした。
「心理士さんなら、子供にイライラとかしないんですよね?」
と言われることも多々ありますが、声を大にして言います。
全くそんなことはございません!!!
なんだ、そうかと。安心してくださる方がいれば何よりです笑。
最近は、アンガーマネジメントなども流行っていますが、
イライラや怒りってそう簡単にコントロールできるものではないですよね。
とくに育児は、自分の思い通りにならない出来事、自分の頭では想像できない出来事の連続です。
自分のイライラ、焦り、不安など、
ストレスの原因となっているストレッサーは目の前からなくなることはありません。
これは育児に限った話ではないかと思います。
仕事であれプライベートであれ、
自分以外の他者というのは、自分の思い通りにならない生き物です。
じたばたしてみる
たとえば幼児のイヤイヤ期。
育児をされた方々は経験済みでしょうか?
「やだー!!」と床でのけぞる。服を着ない。食べ物を投げる。
声を聴くだけでもイライラするし、疲労でため息が出ます。
「いい加減にしなさい!」と怒鳴ったり、
「もういい」と置いてきたり。
そんなことが日常茶飯事で、心身ボロボロ。
そんなとき、皆さまはどうされていましたか?
叱るのをやめて褒めてみる。
育児ブログや育児本で勉強。
保育園の先生に相談。
友達とランチして気分転換。
旦那に代わりに当たり散らす。
さいごは、え?と思ったかもしれませんが、これもコーピングです。
円滑な対人関係において良いか悪いかはさておき、
自分の気分を落ち着かせるためにとっている行動は、すべてコーピング(ストレス対処)です。
人によって、試行錯誤したり、情報収集したり、相談したり、気晴らししたり。
まずは、じたばたしてみる。これって私たち良くしますよね。
どうせ無理に決まってる
とはいえ、先ほどもお伝えした通り、イライラを解消するのは難しいです。
「褒めたら褒めたで、甘えて余計やらなくなるはず」
「育児本みたいに上手くいくわけがない」
「子どもがいるのにランチなんていく時間ない」などなど。
自分の頭の中で、どうせ無理に決まってると考えてしまうことってありますよね。
そうすると、せっかく持っている自分のコーピング(ストレス対処)も、
やらずじまいで終わってしまいます。
われわれは賢いシマウマ
いまお伝えしたのは、
ラザルスとフォルクマンのトランスアクショナルモデルで説明されていることです。
ストレッサーとして外からの刺激をうけたとき、
人はコーピング(ストレス対処)によってストレス反応を軽減させようとしますが、
実際にコーピングを実行するかどうかには、認知的評価が大きくかかわってきます(図)。

大学の授業ではよくこの図をシマウマとライオンの例でお話しています。
「ライオン」という敵(ストレッサー)が近づいてきた時、「シマウマ」はどうするか?
- ライオンが敵としてどのくらいの脅威かをはかる(大人か?オスか?大きさは?走る速さは?)
- 目の前のライオンという敵に対して、自分の戦闘能力をはかる(ひづめの固さ?走るスピード?)
これが一次的評価と二次的評価です。
これを踏まえて、自分が戦いに挑むのか、あるいは逃げるのか、
「シマウマ」は対応(コーピング)を検討するのです。
もちろんコーピングをとるうえで、この認知的評価の段階はとても重要なわけですが、
シマウマが「どうしよう」「無理かも」「ダメだ」と考えすぎて、
動きを止めてしまったら、そのままライオンに食べられてしまいます。
つまり認知的評価が働き過ぎると、人はコーピング(ストレス対処)をとることができないのです。
かしこい頭脳をもちすぎた私たち人間が陥りやすい罠なのしょうかね。
たまには泥臭く、じたばたしてみるのも良いかもしれません。
気づいたら怒りも忘れてたりして。
さて、シリーズ化してきたストレスのおはなしは、一旦ここまで。
またそのうち再シリーズ化して、登場するかもしれません。お楽しみに。
つぎはどんなお話をしていきましょう。せっかく出てきた育児のお話。
少しずつ、我が家の失敗談なども出していきましょうかね・・・ドキドキ。
>>過去の投稿も、ぜひご覧になってください。
関連記事:
向き合い方って人それぞれ~ストレスのおはなし1~
趣味って必要ですか?~ストレスのおはなし2~
気分転換も多様性時代?~ストレスのおはなし3~
自分を外からみる~ストレスのおはなし4~
>>詳しいストレスの話は他のサイトもご参照ください。
関連サイト:
ストレスとは
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