まじめな話をしてもいいですか？
これまで３回に分けて、ストレスのおはなしをして来ましたが、
自分にも当てはまると思えるような話はありましたでしょうか？
わたしの日常生活のおはなし、なにか皆さまの生活のヒントになっていれば嬉しいです。
しかし！
「ストレス」という用語。
この用語の使い方、自分で書いていても、どうにもこうにも違和感がぬぐえません。
一般的にはどうでも良い話かもしれないのですが、まがりなりにも専門家として、
どうしても、この違和感のわけを伝えたい！という衝動にかられ笑、本日は筆をとっています。
少々まじめにお勉強時間とさせていただくこと、ご容赦ください。
ストレスとは
皆さまは、「ストレス」という言葉をどんな時に使うでしょうか。
「試験が終われば、ストレスから解放されるんだけどな。」
「通勤電車のラッシュが、ほんっとストレス！」
「胃が痛いのは、ストレスなんだと思う…」
ストレスがなにを指しているのか、案外あいまいだと思いませんか？
ストレスはもともと物理学の用語で、物体のゆがみのことを指します。
たとえば、ゴムのようなやわらかいものを引っ張ったり、指で押したりすると、形が変わります。
このように物の形状が変化し、ゆがみが生じることを「ストレス」と言います。
ストレッサーとストレス反応
これを人間や動物にあてはめて、外からの刺激によって、生体に生じる変化を、
セリエという研究者が、「ストレス（ストレス反応）」と定義しました。
このとき、このストレスを引き起こす原因となる刺激を「ストレッサー」と呼ぶようになりました。
さて、ここまで書けば、わたしが感じている違和感、
そろそろ皆さまもお気づきでしょうか？
もういちど、先ほどの例を眺めてみましょう。
「試験が終われば、ストレスから解放されるんだけどな。」
「通勤電車のラッシュが、ほんっとストレス！」
「胃が痛いのは、ストレスなんだと思う…」
さいしょの２つに出てきた、試験、通勤電車。
これは「ストレス（ストレス反応）」ではなく、「ストレッサー」ですよね？
試験のせいで、不安や焦りが出るし、通勤電車のでせいで、イライラする。という仕組みです。
このときの不安、焦り、イライラは、「ストレス（ストレス反応）」となります。
３つめは、どうでしょうか？
胃が痛いのは・・・「ストレス（ストレス反応）」ですね。
まさに刺激によって生体に生じる変化ですので、用語としては正しい使い方になります。
この場合、ここでははっきりと述べられていませんが、
何か胃を痛めてしまうような原因があるようです。これが、「ストレッサー」です。
ここまで、なんとなく伝わりましたでしょうか？
冷静に切り離すって難しい？
小難しいことを、うるさく言いましたが、これまでの内容を要約すると、
「ストレッサー」と「ストレス（ストレス反応）」は違う、というお話でした。
ただ困難な状況に突き当たった時、こんな風に切り離して考えることは難しいと思います。
カウンセリング場面でも、多く方々は混乱の渦中にいて、
なかなか冷静に、客観的に、自分をみることができないでいます。
でもだからこそ、いちど立ち止まって冷静になってみる必要があるのかもしれません。
不安になった時、焦りを感じる時、イライラした時、
- 「自分の中に変化が起きているぞ。」とまずは気づく。
- これが「ストレス（ストレス反応）」だと分かれば、原因探しができる。
- 原因が分かれば、「ストレッサー」と「ストレス（ストレス反応）」を切り離すことができる。
- これらを切り離すことができれば、自分なりの対策を立てることができる。
このように順を追って考えていくとどうでしょう？
実はこのように考えていくプロセスの中で、だんだん冷静になっていく方がほとんどです。
自分を客観視するためには、冷静である必要があると思われがちですが、
むしろ客観的にとらえていくことで、冷静になれるのかもしれません。
自分の状況を外から眺めるということですね。
「ストレッサー」と「ストレス（ストレス反応）」を整理しただけで、
「すっきりしました！」と相談者の方が元気になってしまうことも多々あります。
カウンセリングの専門家としては、商売あがったりです。
こうやってシンプルに考えれば、冷静に切り離す、案外できそうですよね。
「ストレッサー⇒ストレス反応」の図にしてみる。これもいいかもしれません。
はい、たまにはお勉強ってどうですか？
普段から皆さまが「あるある」って思っているような、当たり前の日常生活。
「これって、実は心理学ではこういう理論なんだよ。」と習った方が、
理論から勉強するよりも楽しいと思いませんか？
ちなみに、このプロセスで最後に出てきた「対策」こそが、
このあいだからお話しているコーピング（ストレス対処）です！！
もうちょっとお勉強したい方向けに、次回はこれまでお話してきた「コーピング」について、
本日のおはなしに絡めながら、少し深堀していきます。
＞＞過去の投稿も、ぜひご覧になってください。
関連記事：
向き合い方って人それぞれ～ストレスのおはなし１～
趣味って必要ですか？～ストレスのおはなし２～
気分転換も多様性時代？～ストレスのおはなし３～
＞＞詳しいストレスの話は他のサイトもご参照ください。
関連サイト：
ストレスとは
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