どんなときに部下を褒める?
職場で部下や後輩に対して、
思わず褒めてしまう場面ってありますか?
私の場合、大学教員をしていますが、
学生や後輩に対して、思わず褒めてしまう場面というのがあります。
たとえばゼミでは、お互いに卒業論文や修士論文の中間報告をしますが、
「もう少し、こういう情報が必要なのでは?」
「自分だったらこう書くかなと思う」
など、ときどき鋭い発言が聞かれることがあります。
こういう場面、私はその発言内容にかかわらず、
「たしかに」「いい視点!」と思わず声をかけてしまいます。
これは私が、正しいか、正しくないか、そんなことを怖がらずに、
まずは自分の意見を外に出してみて欲しいと思っているからです。
なぜならば意見というのは、そのことについて能動的に、自分ごととして考えなければ浮かびません。
私は、学生にただ人の発表を聞くのではなくて、
人の発表を通して自分の頭で考え、研究に対する学びを深めて欲しいと考えているのです。
つまり、私の頭の中には、
短期目標:自分だったらという視点で他の研究者の発表を聴く
中期目標:他の研究者に対して、こうしたらもっと良くなるのでは?と建設的な意見を述べる
長期目標:さまざまなデザインの研究を自分の頭で計画・立案・修正する力を身に付ける
という流れがぼんやりとあるのです。
子ども相手で考えてみても
我が子が相手の場合も、同じです。
先日、長女から
「テストの点数で怒られたことないよね?みんなにいいなぁって言われた。」と言われ、
「そうか、じゃあ私は怒らない優しいお母さんなのね?」と言ったら、
「それはちがう!!」と全否定されました。ガミガミうるさい母親なのだそう(笑)。
では私はどういう場面で叱り、どういう場面で褒めるのかというと、
そのポイントは、
テスト勉強の計画を立てているか?
やると決めたことをやっているか?
というところにありまして。どうやら、そこに対してはガミガミ言うようです。
ガミガミの是非はともかくとして、
ここでの私のゴールは、
長期目標:テストに向けて自分なりに計画を立てて、計画通りに遂行する
ということになります。だから私はそこに反応して褒めたくなるのです。
残念ながら、この行動は必ずしもテストの点数にはつながらないので、
点数を取るための行動を身に付けさせたい親御さんであれば、
勉強の計画を立てているかどうかより、
目標:必要な量の勉強をしているかどうか、に注目して褒めたくなるでしょう。
あるいは嫌いな勉強をすることよりも、
好きなことを見つけて楽しめば良いというスタンスの親御さんであれば、
テスト勉強を黙ってすることよりも、
目標:勉強が好きかどうかをちゃんと言葉に出せるか、に注目して褒めたくなるでしょう。
すべてはゴール次第
けっきょく「褒める」かどうかというのは、
なにをゴール(目標行動)と思っているかによるのです。
目標によって、望ましいと思う行動は異なるからです。
部下を育てようと思う時、
子どもに教育しようと思う時、
そして自分の習慣をコントロールしようと思う時、
どう行動するかはすべてゴール次第なのだということです。
カウンセリングでも、まず最初におたずねすることは、
「どうなりたいですか?」
「何を目指したいですか?」
「どこに価値をおいていますか?」
その人のゴールです。
「私の子育てのやり方って良くないですよね?」ともしも聞かれたら、
その答えは・・・「良いか悪いかは、あなたがどう育てたいか次第です」
ゴールがどこか分からなければ、ボールを蹴ることはできないのです。
>>これまでの投稿もぜひご覧になってみてください。
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