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KokoTeraブログ

公認心理師・臨床心理士/博士(医学)
医療現場でカウンセリング歴15年以上。小学生2児の母。
仕事や育児、病気との向き合い方など、様々なご相談に乗ってきました。
このブログでは、心理士として、大学教員として、母として。
ゆかいな日常生活をお届けしながら、
日々の生活に役立つ心理学のエッセンスをお伝えしていきます。

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「考えさせる」観劇時間

観劇での話

先日、子どもを宝塚観劇に連れて行った日のこと。

劇場のお姉さんから「くれぐれも足をバタバタさせたり、頭を動かしたりすることがないように。周りの方のご迷惑になります。」と厳重な事前説明あり。

これは覚悟して観劇に挑まねばと、子どもを押さえつける構えになったのですが。動くなと言ったら、むしろ動きたくなるのが子どもという生き物。いや大人の私ですら、そうです。

まして、1幕だけで90分。大学の授業でも立ち歩く人が続出するほどの長時間。45分の小学校の授業でギリギリアウトの子どもにとっては、不可能な時間に思えました。

そこで母は考えた

常々話していますが、「行動」の前には「きっかけ」が必要です。

「静かにしなさい」「じっとしてなさい」だけで動きを封じようとすると、その言葉がきっかけとして生じない限り、望ましい行動が生起しません。つまりその言葉がなくなれば、すぐに行動が崩れ、「ほら!だから!」とまた叱られることになるのです。

ちなみに仕組みを知っていても、まずは「じっとしてなさい!」と言ってしまうのが親のサガ。そこはご愛嬌です。

その日は観劇前に、ランチをする時間がありました。「2人でゆっくりご飯するのは久しぶりね」「うん!今日は晴れてるから、はっぱがキラキラしてるね!」と楽しく会話をし、心地よい時間。

「今日のお芝居とショーで、観にくるお客様が一番みたいのはどこだと思う?」と切り出してみました。

「・・・うーーん」

ふだん人の話が右から左に流れていく我が子ですが、かなり真剣に考えていました。「お芝居は最後の闘うところ!」「あとは、○○さんが1人で歌うところ!辞めちゃうから、最後だから!」「それからショーだったら、〇〇さんが一人一人とハイタッチするところ!」出るわ出るわ笑。本人の頭の中で映像が出てきているのが見えるようでした。

「そうね、じゃあ今の3つのシーンはお背中ピンで、みんなと一緒に真剣に見ようか!」

とまぁそのような流れで、「静かに見る」行動のきっかけになる場面を事前に想起してもらう形をとってみました。

結局どうなった??

途中グラグラ揺れる身体を支える場面があったものの、なんとか足をバタバタしたりはせずに最後まで楽しく観劇できました。

その場面がくると、「あ!きた!」という顔を私に向けて、合図を送ってくるあたりは小学校低学年です。

ただこれ、幼稚園の時の観劇ではうまくいかなかっただろうなと思ったり。子どもが予習完璧で全てのシーンを言えるほどのオタクっぷりを発揮したからこそだなと思ったり。なにより近くの席の方がお優しく見過ごしてくださったからだろうなと痛感したり。たまたまの産物も重なりました。

それでも本人にとっては怒られずに終わった一つの成功体験。こんなたまたまを積み重ねていきたいものですね。

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